「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」 (文春新書) 文・写真 相原恭子
「Kyoto Maiko&Geiko Story」(Bungei Shunju) Text & Photographs by
Kyoko AIHARA
2001年刊行
11年以上の超ロングセラー
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文藝春秋
「本の話〜自著を語る」より
(1999年の京都花街との出会いを綴った文)
一見さんお断り」の京都の花街に、お金持ちでも男性でもない私が通うことになったのは、全くの偶然だった。まさに「これも何かのご縁」だと思う。仕事で大阪へ向かう途中、ふと寄り道した京都でたまたま先斗町の「鴨川をどり」を見た。美しい舞台に感激し「舞妓さんや芸妓さんの事をいつか書きたい」と強く思ったのである。
それから二週間ほどたったある夜、突然ベルギーの友人から「英国の出版社が日本人で花街について書く人を探している・・・・・・」というメールが届いた。強く念じたことは、いつか目の前に現れる、とは言うものの、こんなに早く、何の準備もできていない自分に「その時がやって来てしまうとは・・・・・・」。
私は嬉しいというより仰天した。とにかく良い機会だという勇んだ気持ちと同時に、困惑で頭がいっぱいになってしまった。思えば、花街に知り合いもいなければ、何の手がかりもないのだ。
そんな時、ふと掛かってきたのは友人Yさんの電話。彼女は即座に「友人の友人が、元芸妓さんで、それは素敵な人なのよ」と言う。何と言うタイミング。一体本当だろうか?
「連絡先を聞いてあげるから、すぐに電話しなさいよ!今」と彼女が電話の向こうで興奮している。全く知らない人、それも敷居の高そうな京都の元芸妓さんにいきなり夜の十時過ぎに電話するなんて・・・・・・。さすがの私も躊躇した。でも、結局電話した。
すると、「明日、先斗町の歌舞練場で『ゆかた会』がありますよ。来てみます?」と誘ってくださるではないか。
こう続けざまに偶然が重なったら、もうこの流れに乗るしかない。私は気がつくと、あの「鴨川をどり」を見た歌舞練場のお稽古場に、カメラを持って座っていたのである。
早速、お茶屋さんでも写真を撮らせてもらった。お勝手口から台所へ入れてもらい、お座敷にあがった。ファインダーを通しての、日本画のような芸舞妓さんの艶姿と、床の間や御簾の日本の美。今も目に焼きついている。 相原恭子著
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2001年刊行の本書は、キーワード(お店出し、衿かえ、ごまはん、べろべろの神様、迷惑拳、掃除抜け、みられ、宿坊・・・など)を読み進むうちに、京都花街を深く理解できるユニークな本。
京都花街を著わしたバイブルとも言われ、性別を問わず、様々な年齢層に愛読されています。
朝日新聞、日本経済新聞、読売新聞、京都新聞、毎日新聞、産経新聞、その他、雑誌で紹介されました。
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国立劇場第129回舞踊公演<舞の会>
文春新書
ISBN4-16-660205-5
定価(本体700円+税) |
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